民藝運動の祖 濱田庄司

河井寛次郎、柳宗悦、バーナードリーチなどと共に、昭和の民藝を語る上で外せない、濱田庄司の作品を見ることができました。
市内の百貨店の催事の一つとして販売されていて、その圧倒的な存在の大きさに感動しました。

どっしりとした重厚なボディに深い色合いの釉薬が施され、ぐいぐいと引き込まれていきます。
やはり後世に語り継がれる方の作品は違います。
よく本に紹介されているこの形の作品ですが、その大きさとお値段にびっくりでした。
(ちなみにこちら143万円です)

若き日は先輩の河井寛次郎と釉薬の研究に没頭し、柳宗悦にバーナードリーチと知遇を得た濱田庄司は、リーチの帰国に同行し一緒に個展を開くなどします。
英国の伝統的陶器のスリップウエアの紋様を多く作陶しているのはこうしたわけです。

のちに帰国し沖縄の壺屋焼を学び、そして益子焼の地に落ち着くことになるわけですが、この作品には壺屋のフォルムに益子の色合いが強く現れているように感じました。
柿釉の渋い色に窓絵、形といい重さといい、まさに民藝を代表する作品です。

これも濱田庄司の作品です。
どっぷりとした黒釉の花瓶ですが、下地に鉄釉か何かをかけているので、深みと趣がありまさに民藝の代表といった感があります。
ちょうど根来の塗り物にある、単色では出ない魅力をお醸し出しています。(こちらは82.5万円でした)

自分の中の創造性に目覚める

ただ眺めるだけの眼福を得たひと時でしたが、身近な場所でこんな大家の作品を見れるとは思いませんでした。
物心ついた時から古い物や民具が好きな父の影響もあり、家には外国の民芸品や有田や九谷や薩摩の焼き物を見て育ちました。
中学生の時に家族で訪ねた小鹿田の地で求めた、飛び鉋紋様の器でご飯を食べることが好きでした。

ある家庭では大量生産の食器に出来合いのものを並べ、ともすれば孤食または家族バラバラで食べたりします。
そこには人の思いやりや温もりは感じられません。
とても食が人の身体や心を育てるとは思えません。

対して職人が手作りで焼き上げた器に、自家栽培の野菜たっぷりの味噌汁に漬物に、ご飯と一夜干しの焼き魚を、家族揃っていただく食事はいかがでしょうか?
育てている野菜の話しや器を焼いている作家さんの話題、子供や夫婦の日常の様子が垣間見える気がしませんか?

理想を言えばきりがありませんが、私たちは人であり人の手がかかったもので、癒され育まれるのは事実です。
手作りのご飯で育った子供と、インスタント的なものばかりで空腹を満たしてきた子供とでは、後の人生の過ごし方は違ったものになることでしょう。

私の教室ではただ料理を学ぶだけでなく、料理を通して得ることができる豊かさや自負心や周りへの愛情、そしてあなたの中に眠っている創造性へアクセスする事に、目覚めていただきたいと願っています。

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